検出器関係

【電源で悩まない】フリー電源タイプの光電センサの特徴と使い方について解説

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光を飛ばして物体を検出するために使われる光電センサ。

光電センサには透過形・回帰反射形・拡散反射形など、実に様々な検出方法・形のものがありますが、一般的には電源電圧がDC24V(直流24V)のものが大部分を占めています。

なので、光電センサを使うには必ず直流電源が必要になる・・・と思いきや、

各社のカタログを見ていると「フリー電源タイプ」と呼ばれるセンサがラインナップされています。

実はこのフリー電源タイプの光電センサ、上手に使うととても便利な光電センサなんです。

フリー電源タイプの光電センサとはどのようなセンサなのか?

この記事ではフリー電源タイプの光電センサの特徴や使い方について詳しく解説していきます。

なべ
なべ

フリー電源タイプの光電センサはいろいろなことに応用できるとても便利なセンサですよ。

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フリー電源タイプの光電センサとは?

フリー電源タイプの光電センサは、その名の通り多種な電源に接続して使うことができる光電センサです。

引用先:オムロン(E3JK-TR11 2M)

オムロンや北陽電機など様々なメーカーが作っていますが、共通して次のような特徴があります。

特徴1:幅広い電源電圧で使える

フリー電源タイプの光電センサは様々なメーカーが作っていますが、おおむね以下の電源範囲で使用することができます。

  • 直流電源:DC24V〜DC240V±10%
  • 交流電源:AC24V〜AC240V±10%
引用先:パナソニックデバイスSUNX(フリー電源・小型ビームセンサ【電源内蔵】NX5)

なので、一般的な光電センサに多いDC24Vの電源に繋いでももちろん使えますし、家庭用コンセントなどのAC100Vに繋いでも使うことが可能です。

特徴2:制御出力はリレー出力方式

フリー電源タイプの光電センサはオープンコレクタ出力ではなく、センサ本体に内蔵されているリレーを動作させて出力を行います。

なお、使用しているリレーは密封形のリレーを採用しているので、皮膜の原因となるガス等が侵入しにくく、接触不良が起きにくい構造になっています。

引用先:パナソニックデバイスSUNX(フリー電源・小型ビームセンサ【電源内蔵】NX5)

微小負荷用途においても安心して使うことができますね。

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特徴3:一般的な光電センサと検出方式や検出距離は同等

フリー電源タイプの光電センサだからといって、一般的なオープンコレクタの光電センサよりも検出距離が短かったり、検出方式が限られていたりといったことは有りません。

どのメーカーの光電センサも、透過形・回帰反射形・拡散反射形のラインナップがありますし、検出距離も透過形で40mや60mといったものまで存在するなど、基本性能としては一般的な光電センサと同等以上です。

フリー電源タイプのメリット

フリー電源タイプの光電センサのメリットについてお伝えします。

接続する電源を問わない

前述しましたが、フリー電源タイプの光電センサは幅広い電源電圧に接続して使うことができます。

スペック上はDC24V〜DC240VもしくはAC24V〜AC240Vとなっており、工場設備の制御回路で使用する電圧をほぼ全て網羅していると言っても過言ではありません。

なので、PLCなどの制御機器にDC24Vラインで直接接続することも出来ますし、昔の設備のAC100VやAC200Vで制御回路を組んでいるような場合でも、別に電源装置を用意しなくても使うことができます。

交流回路を直接制御できる

一般的な光電センサを使って交流回路を制御する場合、直流電源装置にセンサを接続してその信号でDC24Vのリレーを駆動して。。。というように、部品点数が多くなったり回路が複雑化したりします。

フリー電源タイプの光電センサは動作すると内部リレーを入り切りするという方式なので、交流回路に直接接続して制御回路を組むことができます

光電センサというよりも光電スイッチという方がしっくりくるでしょうか。

DC24Vの操作回路を作らなくても、交流だけで光電センサを使った簡単な制御回路が構築できるというメリットがあります。

直流回路も直接制御できる

フリー電源タイプの光電センサはリレー出力方式であるため、交流回路だけでなく直流回路にも直接接続することができます

なので、オープンコレクタ出力の光電センサの代わりにフリー電源タイプの光電センサを使って制御するといった用途にも柔軟に対応することができます。

使用するセンサの種類を少なくできる

設備の規模が大きくなると、制御回路や電源電圧が多様化してしまい、使用する光電センサの種類が増えてしまうことがあります。

フリー電源タイプの光電センサは取り付けることさえできれば回路の電源を気にする必要がないため、使用する光電センサを統一することができます。

使われている光電センサの種類が少なくなれば予備品の削減に繋がります。

フリー電源タイプのデメリット

とても便利に使えるフリー電源タイプの光電センサですが、一般的な光電センサと比較してデメリットもいくつか存在します。

サイズが大きい

フリー電源タイプの光電センサは、内部にリレーを搭載している関係上どうしてもサイズが大きくなってしまうのがデメリットのひとつです。

一般的な光電センサは、小さなトランジスタ素子を使って出力を行うオープンコレクタ方式であるため、センサのサイズをかなり小さくすることができます。

昔よりも大分サイズは小さくなってきましたが、それでもオープンコレクタ方式の光電センサと比べると2〜3倍ぐらいの大きさがあります。

引用先:オムロン(AC/DC電源フリータイプ光電センサ E3JK)
引用先:オムロン(E3Z アンプ内蔵形光電センサ 小型)

下のオープンコレクタ方式の一般的なサイズの光電センサですが、もっとサイズが小さい機種もたくさん有ります。

リレーの寿命がある

一般的なオープンコレクタ出力の光電センサは明確な寿命の定義が有りませんが、フリー電源タイプの光電センサはリレーの寿命が明確に定義されています。

  • 電気的寿命:AC負荷開閉5〜10万回以上、DC負荷開閉50万回以上
  • 機械的寿命:5,000万回〜1億回以上

なので、スペック上はオープンコレクタ出力のセンサよりも寿命が短いということになります。1日に何百〜何千回も動作するようなハードな使い方をする場合は、オープンコレクタ出力の光電センサを選定した方が良いでしょう。

とは言え、コンベアを通過する荷物を検出するなどの標準的な使い方の場合は、この開閉回数を気にして使用を避けるなど神経質にならなくても良いと思います。

フリー電源タイプの使い方

フリー電源タイプの光電センサの使い方について、オムロンの「E3JK-RR12」の接続図を用いて解説します。

引用先:オムロン(製品に関するFAQ)

光電センサが動作すると表示灯が点灯する回路について考えてみましょう。

電源電圧100Vの回路で表示灯(AC100V)を光電センサで点灯させたい場合、次のように接続します。

まずは光電センサに電源を接続します。光電センサの電源は茶色と青の線なので、図では「R100」に茶色、「S100」に青色を接続しています。

これで光電センサが動作したら内部のリレーが開閉するようになります。

次にこのリレーに表示灯を接続します。表示灯は片方が「R100」に接続されているので、もう一方をセンサーのa接点(黒色)に接続し、C接点(白色)の線を「S100」に青の線と一緒に接続すれば完成です。

これで、光電センサが動作するとAC100Vの電圧が表示灯に掛かって点灯する回路ができあがりました。

尚、上記センサが透過形光電センサの場合、光を出す方の投光器が別にあるわけですが、投光器側の電源についてはDC24VでもAC200VでもOKです。受光器側の電圧に合わせる必要はありません。

フリー電源タイプのラインナップ

フリー電源タイプの光電センサは様々なメーカーが出していますが、あまり種類が多くありません。僕がよく使うメーカー及び機種をご紹介しますのでご参考になさってください。

オムロン:E3JKシリーズ

引用先:オムロン(E3JK(NEW))

数多くの光電センサを作っているオムロン製のE3JKシリーズです。

基本性能が高いわりに価格が比較的安価なのが特徴です。サイズが少し大きいのがデメリットですが、とても使いやすいので一番愛用している機種です。

パナソニックデバイスSUNX:NX5シリーズ

引用先:パナソニックデバイスSUNX(フリー電源・小型ビームセンサ[電源内蔵]NX5)

パナソニックデバイスSUNXからでているNX5シリーズです。

NX5シリーズは何といっても他メーカーのフリー電源タイプの光電センサと比べて、サイズが小さいのが特徴です。

基本性能もしっかりとおさえており、価格も比較的安価なので安心して使用することができます。

長年使ってきたNX5シリーズですが、すでに回帰反射形・拡散反射形は生産を中止しており、透過形についても2025年9月30日を以て受注終了となるそうです。

E3JKの次によく使ってきたセンサなので、ちょっと寂しいですね。

北陽電機:PNXシリーズ

引用先:北陽電機(PNX)

様々なFA機器を展開しているメーカーの北陽電機製PNXシリーズです。

PNXシリーズはフリー電源タイプとDC電源タイプもあるので、オープンコレクタの早い応答速度の方をを求めている場合はDC電源タイプを選ぶと良いでしょう。

PNXシリーズの特徴は透過形センサで検出距離が70mという長距離検出が可能であること。もちろんフリー電源タイプとDC電源タイプ、どちらもこの長距離検出に対応しています。

SICK【ジック】:W24シリーズ

引用先:SICK(光電センサ W24)

SICK(ジック)というドイツのメーカーが作っているW24シリーズです。

SICKのセンサの特徴は何と言っても頑丈で耐久性の高い造りです。

過酷な現場を想定して作られているとのことで、ちょっとやそっとでは壊れないという安心感がこのセンサにはあります。

W24シリーズについてもDC電源バージョンとフリー電源バージョンがラインナップされており、ユーザーのニーズに合わせて機種を選択することができます。

SICKのデメリットは価格が少し高いことと、基本海外からの輸入になるので納期が掛かるという点です。

とはいえ、SICKのセンサには価格に見合った価値がちゃんとありますので、検討の余地は十分にあると思います。

僕もSICKにはそこそこお世話になっています。

まとめ

以上、フリー電源タイプの光電センサについて特徴やメリット・デメリット、使い方について解説しました。

まとめると、フリー電源タイプの光電センサは次のようなメリット・デメリットがあります。

<メリット>
  1. 接続する電源を問わない
  2. 電源電圧を揃える必要がない
  3. 交流回路を直接制御できる
  4. 直流回路も直接制御できる
  5. 使用するセンサの種類を少なくできる
<デメリット>
  1. サイズが大きい
  2. リレーの寿命がある

サイズが大きいなどのデメリットがありますが、上手に使えばメリットの多いとても便利な光電センサです。

実際、僕が保全を行っている顧客設備にもフリー電源タイプの光電センサはたくさん使われています。

センサを増設したいが近くに直流電源が無いなど、電源電圧がボトルネックとなっているような場合はかなり有効な打ち手になりますので、もしお困りの方がおられたら検討してみてください。

ABOUT ME
なべ
なべ
エンジニア
設備保全一筋20年の保全マン。
専門は電気であるが、機械関係の仕事にも携わっている。
現在は営業・設計・製作・工事までを1人でこなすハードな毎日を送っている。
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