【光電センサって何?】仕組みと特徴について種類ごとに詳しく解説
皆さんの職場では「光電センサ」を使われることはあるでしょうか?
「光電センサ」とは「ビームセンサ」と言ったりもしますが、光を使って物を検出するための機器で、工場の中で稼働している産業機器等に広く使われています。
人が近づくと自動ドアが開いたりするのも「光電センサ」が使われていますし、機械の動きを制御するなど使用用途は実に様々です。
この記事では自動機械の設備保全を20年以上手掛けてきたなべの経験から、色んな種類の「光電センサ」についての仕組みや使い分け、メリット・デメリット等を解説してみたいと思います。
光電センサの仕組みを理解して上手く使い分けましょう!
光電センサの仕組み
光電センサとは大まかに言うと、光を発生させて飛ばす「投光部」と飛ばした光を受ける「受光部」で構成されていて、「受光部」が「投光部」から受け取る光の量の変化で物の有る・無いを判別する装置です。
このように「投光器(投光部)」と「受光器(受光部)」の間に物が入ると、光がさえぎられて「受光器(受光部)」に入る光の量が変化(少なくなる)します。なので、光電センサは投光器と受光器の間に何か物体があるなと認識し、信号を制御装置に出力することができるわけですね。
光電センサの種類
光電センサには大別して次の3種類が一般的です。
透過形
透過形の光電センサは光を飛ばす「投光器」とその光を受ける「受光器」で構成されています。
投光器から飛んできた光を検出物体がさえぎることによって受光器に入る光の量が変わる(少なくなる)ので、その変化を感じ取った受光器が「物体を検出した」と判断し信号を出力するという仕組みになっています。
受光器に入ってきている光が少なくなる(暗くなる)ことで動作する方式を「ダークオン」と呼びます。
光電センサの中でも最もポピュラーな型と言えますね。
回帰反射形(ミラー反射形)
回帰反射形の光電センサは別名ミラー反射型とも呼ばれ、光を飛ばす投光器と光を受ける受光器が一緒になったセンサ本体と、センサから飛んできた光を反射させる反射板で構成されています。
センサ本体から放たれた光は反射板で跳ね返ってセンサ本体に戻ってくる(回帰してくる)わけですが、この光を検出物体がさえぎることでセンサ本体に戻ってくる光の量が変化する(少なくなる)為、センサが「物体を検出した」と判断して信号を出力するという仕組みになっています。
回帰反射形についても透過形と同じく基本的な動作は「ダークオン」となります。
拡散反射形
拡散反射形も回帰反射形のセンサと同じく、センサ本体は投光器と受光器が一緒になっています。回帰反射形と違うのは、拡散反射形の場合は検出物体に直接光を当てて返ってくる光量の変化を検出し、検出物の有る無しを判断しているところにあります。
拡散反射形では投光器が飛ばした光が返ってこない状態はいわゆる「検出物体がない」状態、光が検出物体に当たって受光器に光が返ってきたら「物体を検出した」状態になり信号を出力します。この点は透過形や回帰反射形のセンサとは逆の動作ということになりますね。
このように、受光器に入ってくる光が多くなる(明るくなる)ことで動作する方式を「ライトオン」と呼びます。
※拡散反射形とよく似たタイプで「限定反射形」というものもあります。詳しくは下の記事で解説しています。
各光電センサのメリット・デメリット
透過形・回帰反射形・拡散反射形、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
透過形のメリット
検出距離が長い
透過形のセンサは受光器と投光器同士をかなり離して使うことができます。短いもので15mぐらい、普通で30mぐらい離すことができますし、機種によっては60mぐらい離せる機種も存在します。なので投光器と受光器を離して使いたい用途に最適です。例えば大きな物や長い物の有る無しを検出したい場合などですね。
汚れ等の環境外乱に対して比較的強い
投光器からの光がストレートに受光器へ飛んでくるので、他のタイプと比較すると汚れに対して強い印象です。流石に光を完全にさえぎるような汚れが付着すると誤動作しますが、自然に溜まるようなホコリぐらいであれば、そこまで誤動作するようなことはありません。
透過形のデメリット
センサ2個分の配線が必要
投光器と受光器が分かれているので、それぞれに配線を敷設して接続する必要があります。これが結構面倒な場合が有り、センサ1組につきセンサ2個分の配線工数が掛かってしまうのが透過形のデメリットになります。
回帰反射形のメリット
透過形と比べて配線工数が半分
回帰反射形はセンサ本体1つと反射板という構成なので、単純に透過形と比べて配線工数が半分になります。回帰反射形は透過形と似たような使い方をする場合が多いですが、センサの相方は反射板なので電線を繋ぐ必要がなく、ビス2本ぐらいで取り付けるだけで済みます。設備の都合上配線を敷設するのが難しい時など、回帰反射形のセンサはかなり重宝しますよ。
そこそこの検出距離がとれる
反射板で光を跳ね返すという構造上、透過形よりも検出距離は短くなりますが、それでも5m前後ぐらいは検出距離をとることができます。
透過型のセンサでないと検出距離が足らない場合もありますが、5mの検出距離があればある程度対応することが出来ることも多いと思います。
回帰反射形のデメリット
汚れに比較的弱い
回帰反射形で使用する反射板が汚れたり結露などで曇ったりすると、たまに誤動作(物体を検出していないのに動作している)することがあります。特に結露しやすいところやホコリが溜まりやすい環境で使用する場合はこまめな点検・清掃が必要になります。
反射板がセットになっていないときがある
回帰反射形のセンサを購入する場合、メーカによっては反射板が別売りの場合があります。(オムロン等)
反射板にもバリエーションがあるので、ニーズにあった反射板を選べるというメリットがあるのかもしれませんが、特に反射板の形にこだわりが無い場合は購入時に注意が必要です。回帰反射形のセンサを購入するときは反射板が付属しているのか別売りなのか、確認するようにしましょう。
拡散反射形のメリット
センサ1台で検出ができる
拡散反射形は投光器と受光器が一緒になったセンサ本体から、検出物体に直接光を当てて物の有る無しを判断しているので、透過形や回帰反射形のように相方を設置する必要が有りません。
様々な用途に応用がきく
センサ1台で光を飛ばして物体を検出できるので、例えば動く機械先端に拡散反射形のセンサを取り付けて物の有る無しを検出する等、アイデア次第で結構幅広い用途で使うことができます。
透過形や回帰反射形のセンサは基本的には固定で使うことが多いセンサですが、拡散反射形は様々な用途に対して応用がきく、とても機動力のあるセンサと言えるのではないでしょうか。
拡散反射形のデメリット
検出距離が短い
検出物体に直接光を当てるという仕組み上、どうしても検出距離が短くなってしまいます。一般的な検出距離は500〜700mm程度、機種によっては長いものもありますが、それでもせいぜい1mぐらいです。
最低限必要な検出距離がどれぐらいかを検討したうえで、機種を選定することが不可欠となります。
検出物体の色で検出距離が変わる
これも拡散反射形の仕組み上しかたのないことですが、検出する物体の色や光沢によって検出距離が結構変わってきます。
検出距離が短くなりやすいのがやはり黒色、白い物体と油で汚れて黒くなった物体とではかなり検出距離に差が出てきます。
また、検出物体に光沢があるとセンサの光が拡散されるせいなのか、角度をつけると検出できないこともあります。物体の色が黒だと更に条件が悪くなります。
拡散反射形を選定するときは、センサの取付角度や検出する物体の色等をよく確認し、事前にテストすることをおすすめします。
光電センサの特性を理解して使い分けよう
以上、光電センサの代表的な種類である「透過形」・「回帰反射形」・「拡散反射形」について、特徴やメリット・デメリットをご紹介しました。
どのセンサにも一長一短があり、設備や環境に応じて使い分ける必要があります。
ご自分が享受したいメリットは何なのか、センサのデメリットに対してどこまで許容できるのか、特徴や特性を理解したうえで選定するようにしてください。
他にも様々な種類のセンサがありますので、次の機会にご紹介できればと思います。