【熱中症予防に効果抜群!】空調服の特徴とよくある疑問について詳しく解説
今年も暑い夏がやってきますね!
炎暑の中で現場仕事をする人にとってはとても辛い季節です。そんな中、熱中症対策で注目を集めるのがやはり「空調服」ではないでしょうか。夏になると着用して作業している人が本当に沢山いらっしゃいます。
空調服は一見すると脇に扇風機が付いているだけの製品ですが、着用することで本当に快適な作業環境を実現することができ、熱中症のリスクを大幅に低減する効果が期待できます。
最近では空調服のラインナップがかなり増えているので、機能性・デザイン性の違いやメンテナンス方法なども気になるところではないでしょうか。
本記事では、空調服が一体どのようなものなのかを解説しつつ、空調服に対するよくある疑問点についてもお答えしていきます。
是非、これらのことを参考にしてご自分にあった空調服を選んで頂ければと思います。
夏の現場仕事は空調服無しではかなりきついですね
空調服とは?
空調服とは、内蔵されたファンを作動させて空気の流れをつくることによって、着用者の体温調整をサポートするという製品です。
ファンは写真のように脇より少し下ぐらいに取り付けられていて、この2つのファンにバッテリーを繋いで作動させるという仕組みになっています。
ファン部分
引用先:株式会社 空調服(空調服とは)
空調服の専用ファンはこのように服から単独で取り外せるようになっていて、万が一故障したとしてもファンだけ交換することができます。
引用先:ユニネクマガジン(空調服ファンの取り付け・取り外し方と正しいお手入れ方法)
ファンの反対側は写真のように体に密着しないようドーム型のガードが取り付けられています。このドーム型のガードがあるとファンと体との間に必ず隙間ができるので、外から取り込んだ風の通り道が塞がれないという仕組みになっています。
引用先:株式会社 空調服(空調服とは)
服側にはこのようにぽっかりと穴が空いているので、この穴に専用ファンを取り付けることで空調服が完成します。穴の周りは布が二重になって補強されているので、長期間使っていても破れたりする心配はありません。
空調服に取り付ける専用ファンは本体とリングとで構成されていて、本体を穴から差し込んだ後にリングを取り付けることで固定ができます。
引用先:ユニネクマガジン(空調服ファンの取り付け・取り外し方と正しいお手入れ方法)
空調服のファンの取付方法は上のような「はめ込み式」とリングを回して固定する「ねじ込み式」とがあります。
僕は「はめ込み式」と「ねじ込み式」どちらも使っていますが、取り付けやすさには大差ありません。
ケーブル
引用先:株式会社 空調服(ケーブル CBB500)
空調服のケーブルは写真のようにL字プラグを採用しています。
プラグがストレートの場合だと作業中に折れ曲がったり邪魔になったりするので、L字プラグの方が理にかなっていると言えます。最近ではこのプラグにロック機構が備わっているものがあり、仕事中にプラグが抜けてファンが止まってしまうということを防止できます。
写真のケーブルでは赤いプラグの方をバッテリーに繋ぎ、二股に分かれている方をそれぞれのファンに接続して使用します。尚、バッテリーから遠い方のファンにも難なく接続できるよう、ファンに接続する側の線が1本だけ長くなっているのも専用ケーブルならではの配慮です。
引用先:ユニネクマガジン(空調服ファンの取り付け・取り外し方と正しいお手入れ方法)
バッテリー
引用先:株式会社 空調服(バッテリー LIBT2)
空調服のバッテリーは基本的には専用バッテリーを使用します。バッテリーにはファンの風量を切り替えられるボタンや残量表示が備わっているほか、汗などの水分で故障したりしないよう堅牢な造りをしているのも特徴の1つです。
また、ファンの仕様によっても使用できるバッテリーの種類が異なってくるので、使おうとしているファンに対応したバッテリーを選択することが非常に重要です。
引用先:株式会社 空調服(充電アダプター CG23411)
ちなみに、空調服のバッテリーはこのような専用の充電アダプターに接続して充電を行います。
服部分
空調服はファンで外気を取り込んで空気の流れを作るわけですが、狙ったところに空気がちゃんと流れるように服本体にも様々な工夫が施されています。
引用先:株式会社 空調服(空調服とは)
まずは空調服の裾部分。裾から風が抜けてしまうとあまり意味がないため、裾部分にゴムを入れて胴回りに密着させています。
引用先:株式会社 空調服(空調服とは)
そして空調服の襟元。襟元には紐が取り付けられており、空調服を着用したときに襟の部分が首に密着しないようになっています。これは首の後ろに空気の抜け道を作るためで、ここから抜けた風が汗の気化を促進し体温を早く下げる効果があります。
この首元の風がとても涼しく、また首元だけでなく袖からも風が抜けていくので、体全体が冷却されている実感があります。この冷涼感がとても快適で、1度この感覚を味わってしまうと空調服無しの環境にはもう戻れません。
それぐらい空調服は快適な装備なんです。
この空気の抜け道をコントロールしている点が、ファンが付いているだけの服との大きな違いなんだね!
空調服の欠点
良いことずくめのように思える空調服ですが欠点も存在します。必ず抑えておきましょう。
周囲のホコリや粉塵を吸い込んでしまう
空調服は外からの外気を服の中に取り込んでいるため、周囲にホコリや粉塵が沢山飛び交っている作業場での着用が注意が必要です。ファンが故障してしまう恐れがあるほか、取り込んだホコリや粉塵が首元に溜まるなど逆に不快な状態になることもあります。
このような作業場で空調服を着用する場合は、ファンに取り付ける専用のフィルターを使用するようにしましょう。
引用先:株式会社 空調服(FSBSET2)
バッテリーが切れると使えなくなる
当たり前ですが、バッテリーが切れると空調服は使うことができません。着用中にバッテリーが切れてしまうと密閉されたウィンドブレーカーと化してしまうため、逆に暑さが増強されます。
また、空調服のバッテリーは専用バッテリーなので、手持ちのモバイルバッテリーなどで代用することも出来ません。
なので、空調服を使用する前に必ずバッテリーは満充電にしておき、予備バッテリーを常にストックしておくことが大変重要です。
穴が空くと一気に冷却効率が落ちる
空調服は服の構造を工夫することで風の通り道をコントロールしているため、服に穴が空いてしまうとそこから風が抜けてしまい、一気に冷却効率が悪くなります。
空調服は特に現場作業で着用されていることが多いため、鋼材などに引っ掛けるなどして破ってしまうリスクが非常に高いです
例え買ったばかりの新品の空調服であっても、着用して数秒後に穴が空いてしまったらその瞬間使いものにならなくなります。
僕も鉄板の角に引っ掛けるなどして服をよく破ってしまうので、縫ってもらったりテープを貼ったりして凌いだりしています。
かと言って中々防げるようなことではないので、ある程度ストックを持っておくと良いでしょう。
穴が空いちゃうと全く涼しくないんだよね〜
過剰な冷却による体調不良を起こすことがある
空調服は常に風を体に当てているため、長時間の使用にはある程度の配慮が必要です。
特に休憩時間中にクーラーの効いた部屋に入ると、涼しい空気が一気に空調服の中に入ってくるので、涼しいを通り越して寒くなってくることがあります。
その状態が長く続くと風邪をひくなどの体調不良を引き起こす可能性があるため、場面場面に応じて風量を調節したり電源を切るなどの配慮が必要です。
汗をかいた状態で空調の効いた部屋に長時間居ると体調を崩す原因になります。
空調服に対する疑問について
空調服に対するよくある疑問についてお答えしていきます。
これらのことは空調服選びのヒントにもなりますので、是非ご自分にあった空調服を選ぶえうでの参考にしてみてください。
空調服のサイズはどう選べばいい?
服のサイズは人の好みによってピッタリサイズや小さめサイズ、大きめサイズと様々な選び方があります。
空調服の場合は体に密着するようなピッタリサイズを選んでしまうと、風の通り道が無くなって服の中でうまく循環することが出来ません。
できれば1サイズ大きめのものを選ぶことをおすすめします。着用してファンのスイッチを入れたときに服が少し膨れるような状態が一番涼しく感じられると思います。
長袖タイプと半袖タイプどれがいいの?
空調服の種類には大きく分けて「長袖タイプ」と「半袖タイプ」があります。
引用先:株式会社 空調服(長袖 KU91731)
引用先:株式会社 空調服(半袖 ND111)
更に袖がない「ベストタイプ」もラインナップされています。
半袖タイプやベストタイプの方が端から見ると涼しそうに見えますが、着用していてより涼しさを感じられるのは「長袖タイプ」になります。
長袖タイプの場合は首元だけではなく袖からも風が抜けていくので、より体全体を効率よく冷却することができます。なので、冷却効率を優先したい方は長袖タイプを選んだ方が無難でしょう。
ただし、半袖タイプやベストタイプは袖が無いぶん軽快で、仕事中に袖が邪魔になりにくいというメリットがあります。
好みや用途に応じて選んでみてください。
炎天下の屋外でも効果あるの?
空調服は外の空気を服内に取り入れるため、「暑い外の空気を取り込んでも涼しくないんじゃないの?」と思う方もおられるのではないでしょうか。
確かに、炎天下の屋外で着用すると生暖かい風が空調服の中に入っていきます。でも、着用するのとしないのとでは感じる暑さが全く違います。
それは、空調服のコンセプトが「かいた汗が蒸発するときの気化熱を利用して体温を下げる」というものだからです。
なので、たとえ炎天下の屋外であっても空調服を着用することで、かなり熱中症の発生リスクを抑えることができます。
空調服のファンはどれも同じなの?
空調服のファンは性能を決める大事な要素の一つであり、メーカーや機種によって沢山の種類が存在します。
その中でも一つの指標となるのが「電圧」です。一般的にはファンに掛ける電圧が大きくなる程それに比例して最大風量も増加するので、より涼しさを感じることができるようになります。
最も種類が多いのが7.2Vの機種ですが、12Vや15Vの機種、中には18Vの機種もラインナップされています。
正直7.2Vのものでも十分涼しさを感じられますが、より涼しさを求めるのであれば10V以上の機種をおすすめします。
注意点としては、せっかくファンが大きな電圧に対応していても、使うバッテリーの出力がそれに対応していないと性能を引き出せないという点です。なので、必ずファンとバッテリーの互換性を確認し、それぞれに対応したファンとバッテリーを選ぶようにしましょう。
バッテリーはどれも同じなの?
ファンに種々の電圧に応じた様々な機種があるように、バッテリーにも出力に応じて様々な機種が存在します。
最大で7.2Vまでしか出力出来ない機種や、18Vの高出力が出せる機種まで様々です。
なので、基本的にはより高い出力のバッテリーを選ぶことで、大風量のファンを回すことができるようになります。
とは言え、ファンの電圧に応じた最適なバッテリーを選択しないと、ファンの性能を引き出せないばかりか、ファンを故障させてしまう原因にもなります。
実際、7.2Vにまでしか対応していないファンに12Vを掛け続けてしまうと、モーターが焼損してファンが壊れてしまいます。
バッテリーの出力電圧の性能だけでなく、必ずファンがそれに対応しているかを確認して、出来ればセットで購入するようにしましょう。
バッテリーは一日中使っていてももつの?
暑い夏は空調服を一日中使い続けたいもの、ですが気になるのが「バッテリーって一日中使っていても大丈夫なの?」という点ではないでしょうか。
僕も使っている一般的な空調服のバッテリーである、株式会社 空調服の「LIBT2」というバッテリーのスペックを見てみましょう。
引用先:株式会社 空調服(バッテリー LIBT2)
風 量 | 出力電圧 | 連続使用時間 |
1段階 | 7.2V | 5.5時間 |
2段階 | 6.0V | 8時間 |
3段階 | 5.0V | 12時間 |
4段階 | 3.0V | 24時間以上 |
上記が株式会社空調服製の「LIBT2」というバッテリーのスペックですが、大きな出力電圧の機種であっても連続使用時間は大体同じぐらいです。
スペック表を見てみると、最大出力でファンを使うと5.5時間までバッテリーが使えるということなので、朝から全開でファンを回していると一日はもたないということになります。
実際、朝一で空調服のファンを全開にして使ってしまうと、昼過ぎにはバッテリーが切れてしまいます。
なので、僕の場合は朝の涼しいうちは「3段階」の風量で昼過ぎまで過ごし、昼過ぎから「2段階」の風量に上げて終わりまで乗り切るという使い方をしています。
このやり方であれば、バッテリー残量が少し残るぐらいの余力をもって一日中空調服を使うことができます。
一つのバッテリーで一日中使うには、残量を見ながら風量調整を行いましょう。
朝から全開で一日中使いたいという方は、予備バッテリーを必ず用意しておくようにしてください。
空調服って洗えるの?
空調服がいくら涼しいとはいえ、やはり仕事で使っていると汗をかいたり汚れたりします。ここで気になるのが「空調服って洗えるの?」というところです。
空調服はファンやバッテリーが簡単に取り外せるため、服だけの状態にすれば普通の作業着のように洗濯機で洗濯することが可能です。
クリーニングにわざわざ出したりする必要がないので、このへんは安心ですね。
ファンはどうやってお手入れするの?
空調服のファンはノーメンテで良いのかというと、実はそうではありません。
空調服を使っているとファンの羽根やガードにホコリが少しずつ溜まっていきます。この溜まったホコリによってファンの風量が落ちてしまうため、定期的に掃除をしてあげる必要があります。
一般的なファンは分解清掃ができないため、綿棒などの細い棒を使ってガードの隙間から羽根を清掃します。パーツクリーナーをガードの外から羽根に噴射して清掃する人もいますが、この清掃方法は故障の原因になりますのでやらないようにしましょう。
機種によってはガードとファンを外して清掃できるものがあります。
引用先:株式会社 空調服(ファン FA23112シリーズ)
分解できるタイプのものは掃除がとてもしやすいのでおすすめです。
空調服の上からフルハーネスを付けることはできる?
空調服を着用して高所作業を行う際、空調服の上からフルハーネスの安全帯を着用することはあまりおすすめできません。
空調服の上からフルハーネスを装着してしまうと、空調服内の風の通り道が塞がれてしまうからです。その状態でも多少は涼しさを感じることはできますが、冷却効率は大幅に下がってしまいます。
なので、高所作業でフルハーネスを着用される方は「フルハーネス対応空調服」を選択しましょう。
フルハーネス対応空調服は主に次の2種類があります。
ランヤードを外に引き出すタイプ
引用先:株式会社 空調服(長袖 KU92100)
このタイプは空調服の背中にランヤードを外に出せる開口部があり、この開口部からランヤードを外に出して着用します。
なので、フルハーネスを装着するときは一旦フルハーネスからランヤードを外した状態で空調服を着用し、背中の開口部からフルハーネスの金具を引き出してランヤードを取り付けるという手順になります。
胸ポケットの辺りにはフックを掛ける金具が付いているので、そこに掛けておけばフルハーネスを使用しない場合でも収納がスムーズです。
このタイプの欠点は、背中の開口部から引き出した金具にランヤードを取り付けるのが一人ではかなりやりにくい点です。僕のような体の硬い人では背中に手を伸ばすだけでも一苦労なので、誰かに取り付けてもらう必要があります。
フルハーネス対応の空調服はほとんどこのタイプです。
スペーサ一体タイプ
引用先:株式会社 空調服(長袖 KU92130)
このタイプは空調服の中に空気の抜け道を確保するためのスペーサが内蔵されていて、このスペーサがあることによって空調服の上からフルハーネスを装着しても冷却効率が落ちにくいという特徴があります。
なので僕のような体の硬い人でも、普通の作業着と同じ感覚で楽にフルハーネスを装着することができます。
ラインナップには普通の空調服の中に装着することで同じ効果が得られるインナースペーサベストもあります、必要に応じて検討してみては如何でしょうか。
空調服って洗い替えが必要?
空調服は汗をかく暑い季節に着用するため、やはり洗い替えがあった方が良いでしょう。
また、空調服は仕事で着用するということもあって、周囲のものに引っ掛けるなどして破れてしまうことがあります。
小さな破れなどは養生テープを貼るなどして凌ぐ方法もありますが、テープでは対応できないような状態になってしまうと空調服は機能不全に陥ります。
このようなリスクに備えるためにも、仕事でよく空調服を使われる方は予備を持っておくことをおすすめします。
服とファンって別メーカーでも互換性があるの?
空調服の洗い替えは安い別メーカーにしたいと考えたときふと思うのが、「服とファンって違うメーカー同士でも大丈夫なの?」という点です。
結論から言うと、「ほとんどの場合で装着が可能」です。
各社出している空調服の取付穴とファンの大きさがほとんど同じ(約90㎜)なため、別メーカー同士でもだいたい取り付けることができます。
実際、僕も別メーカー同士の空調服とファンの組み合わせでも使うことが出来ています。
ただし、ファンとバッテリーは「互換性は無い」と考えておいたほうが無難です。故障や事故の発生等のリスクがあるため、ファンとバッテリーは必ずセットで購入及び使用するようにしてください。
空調服で今年も暑い夏を乗り切ろう
以上、空調服の解説とよくある疑問点についてお答えしてきました。
空調服は暑い夏の現場仕事を乗り切るために、今となっては必要不可欠のツールになりました。
様々な空調服がありますが、それぞれの特徴活かしたうえでご自分にあった最適な空調服を選んでみてください。
今年の夏も暑くなると思いますが、みんなで空調服を着て乗り切りましょう!