三相交流回路の「RST」と「UVW」の違いについて
工場等にある設備やクレーンの電源は三相交流のものが非常に多いです。
それらの電気図面(展開接続図)を眺めていると、「R・S・T」という表現や「U・V・W」という表現で記載されている部分をよく目にします。
この記事では、これらの違いについて少し例を交えながら解説していきます。
そんなに難しい違いはないので是非覚えて下さいね
「RST」とは?
電気の展開接続図に出てくる「RST」という表現、これは一般的に三相交流回路の「電源」を表します。
設備を動かす為には工場内のキュービクル等から電力を供給してもらう必要がありますが、そこから電線を敷設して設備に接続したとき、その電源部分(一次側電源)を「RST」と表現します。三相交流は電源線が3本ありますので、各線(各相)を区別する為にそれぞれR相・S相・T相と表記します。
供給側から敷設されてくる各相の電線には、それぞれの相に対応した色分けがされています。写真のように「R相:赤線」・「S相:白線」・「T相:黒線or青キャップ」となっています。なので、正しく電気工事がされていれば色でRSTを区別することが出来ます。
なぜ「RST」という呼び方にしたのかは諸説あるみたいですが、一番有力なのは昔の三相交流が「〇:Round」・「□:Square」・「△:Triangle」と表現されてい為、その頭文字を取って「RST」となったそうです。
「UVW」とは
展開接続図に出てくる「UVW」という表現、これは一般的には「負荷側」を表します。負荷として代表的な三相誘導電動機いわゆる三相モーターへの配線は、「UVW」という表記の仕方である場合がほとんどです。モーターを接続するときに端子を見てみると「UVW」と記載されています。
あとは三相トランスの端子も「UVW」と表記されています。高圧側巻線の方を大文字で「UVW」、低圧側巻線の方を小文字で「uvw」と表現されていますね。
接続図の具体例
電源と直接接続
電源の「RST」から直接モーター(M)に接続した図になります。(普通はこんな繋ぎ方は危なくてやりませんが)
電源のR相(赤線)をモーターのU相に、S相(白線)をV相に、T相(黒線or青キャップ)をW相にそれぞれ繋ぐとモーターは正回転します。ちなみにどれかの線を入れ替える(例:R相ーW相、S相ーV相、T相ーU相)とモーターは逆回転するようになります。
電磁接触器を介して接続
電源の「RST」から三相モーターを始動・停止させる為の電磁接触器の接点を通って、モータに接続している図です。このように接続すると、電磁接触器の接点が閉じるとモーターに電圧が掛かってモーターが回転し始めます。いわゆる「直入れ」ですね。
電磁接触器を介して「RST」を接続する場合は、接点を出ると線の名称(記号)は「UVW」という名前に変えてモーターまで配線することが殆どです。そうすることでモーターの端子と線の名称が同じになるので、間違いが起きにくくなります。
インバータを介して接続
インバータとは、モーターに流す電気の周波数をコントロールすることでモーターのスピード(回転数)を変えて、機械の動きを制御する装置です。
インバータについては電源側は「RST」、負荷側は「UVW」と接続する端子に表示がされています。なので、インバータのRST端子に電源を繋ぎ、インバータのUVW端子とモーターのUVW端子を接続すれば、動かすことが出来るようになります。
※インバータの電源側に「UVW」、負荷側に「RST」を繋ぐとインバータが壊れます、注意しましょう。
まとめ
以上、「RST」と「UVW」の違いについて簡単な接続図を交えてお伝えしました。
基本は「RST」は電源側、「UVW」は負荷側、線の色は「赤線・白線・黒線or青キャプ」と覚えて頂ければ差し支え有りませんので、ご参考になさって下さい。